ニューヨーク郊外の観光地
17世紀初頭にヘンリー・ハドソンによってニューヨークが発見されて以来、開拓、移民、産業革命を経て、『世界の首都』と呼ばれるようになったニューヨークとその近郊には、歴史を物語る史跡・名所が数多くあります。マンハッタンから30分~1時間のドライブで行ける郊外の見どころをご紹介します。
ロングアイランドの見どころ
マンハッタンから東へ車で約1時間、ロングアイランド・オイスターベイのロイドハーバーの高台にサガモアヒル国定史跡があります。ここには『テディ』の愛称で知られるアメリカ第26代大統領セオドア・ルーズベルトの邸宅がたたずんでいます。マンハッタンで生まれ育った彼は、青年期から休暇の度にこの地にやって、ゆったりとした自然を愛したといいます。このクイーン・アン調のモダンな邸宅は、彼の大統領任期中も夏のホワイトハウスとして知られ、彼が他界するまで30年に渡ってテディの心を癒し続けました。現在では政府管轄の下一般公開され、ミュージアムやギフトショップと共にオイスターベイの見どころとして人々に愛されています。
Sagamore Hill - Theodore Roosevelt's Home
12 Sagamore Hill Road, Oyster Bay, NY 11771
www.nps.gov/sahi
マンハッタンから約1時間、ロングアイランドのロイドハーバーという所に1900年初頭、蒸気船や鉄道の一大帝国を築いた大富豪、バンダービルト家が建てた豪邸「サマー・レジデンス」がたたずんでいます。1902年にグランドセントラル駅を設計したウェットモア建築事務所が設計したスパニッシュ風の素晴らしい建物には大理石のバスタブや、20人以上が入ることのできるクローゼットなど30もの部屋があり、絢爛豪華! また併設する美術館には一族の集めた数々の戦利品の他、動物の剥製や海洋生物のホルマリン漬け、はたまたビンテージカーや3000歳を越すミイラまで展示されています。現在敷地内にはプラネタリウムも増築され、アミューズメントパークそのものです。
アメリカのワインといえばサンフランシスコのナパが有名ですが、ニューヨークにもマンハッタンから約2時間半で行けるノースフォークという所にワイナリーが数多くあります。ロングアイランドの東の端がフォークのように2つに別れており、その北側の半島がノースフォーク。ここには約30件ものワイナリーがあって人気上昇中、夏のシーズンにはたくさんのワイン愛好家が押し寄せます。1973年にブドウ畑を作り始めたという新興のワイナリーですが、ニューヨークのボルドーとも言われ、気候も土壌もワインに適しているそうです。まだまだ若い味で深みが足りないという酷評もあるのは確かですが、10~15年後にはナパを凌ぐのでは? とも言われている注目のエリアです。また、ノースフォークの突端にある港街「グリーンポート」には小洒落たシーフードレストランやカフェ、ブティックがたくさんあって散策も楽しめます。
アップステート・ニューヨークの見どころ
マンハッタンからハドソン渓谷を北上すること約2時間、都会の喧噪とかけ離れたのどかな街ハイドパークへ到着します。まだ手付かずの自然の多く残るこの地には、第32代大統領フランクリン.D.ルーズベルト邸宅がたたずんでいます。彼が生まれ育ち、難病の保養地として愛した屋敷と広大に広がる敷地は、現在米政府の管轄のもと歴史的建築として保護されており、屋敷とミュージアムに入場できるツアー(約1時間)に参加できます。
敷地内にある花園にはフランクリンルーズベルトと妻レオノアが埋葬されています。側には大統領の親友そして“ファーストドッグ”のFALAも眠っているそうです。図書館兼ミュージアムにはルーズベルト家の私物が飾られ、愛車フォードも保管されています。
またここには2つの大戦という難しい時代に国家を背負いながら社会を変えようとしたルーズベルトの政治家としての歴史と功績が展示されています。不自由な身体を恥じるのではなく、世界大戦という世界の混乱の中、国家を背負う人物として弱さを見せないようにしていた彼の歴史が詰まった場所です。
Home of Franklin D. Roosevelt
4097 Albany Post Road, Hyde Park, NY 12538
www.nps.gov/hofr
ハドソン渓谷沿いの景色を楽しみながら、北へ車を走らると、童話に出てきそうな可愛らしい町タリータウンに到着します。この街にハドソン川を見下ろすように建っているのが、鉄道業で富を収めたアメリカの富豪ジェイ・ゴールドのお城のような豪邸リンドハースト。過去何回も家主が変わり、増築や改築が行われたこの邸宅。建築もさることながらその敷地の広さにも驚かされます。
毎日1時間に1本ほどの間隔で豪邸内のガイドツアーに参加することができます。オーディオセットを借りたセルフツアーもあります。ハロウィーンやクリスマスやホリデーシーズンにはお子様の喜ぶようなイベントもあります。ご家族一緒に週末旅行にお勧めの場所です。
マンハッタンから北に車を1時間ほど走らせると、美しい邸宅や歴史的建造物など、古きよきアメリカの面影の残るハドソン渓谷沿いの町スリーピーホロウに到着します。ここには世界の石油王ロックフェラー家の大豪邸『カイカット』が信じられないほど広大な敷地の中に建っており、ゴルフコース、ボーリング場完備のプレイハウス、屋外プール跡、ティーハウス、馬車やビンテージカーが並ぶ巨大ガレージ、数々の彫刻や庭園など、さまざまなガイドツアーで敷地内を見てまわることができます。邸宅はハドソン渓谷を見下ろす丘の上に建ち、地下室のアートコレクションが見事ですが、中でもピカソのデザインしたタペストリーは必見です。
マンハッタンから車で約1時間の距離にあるスリーピーホロウ。ユニオン教会はこののどかな田舎にひっそりたたずんでいます。一見して何の変哲もないこじんまりとした建物ですが、カイカットのお膝元にあり、ロックフェラー家のプライベート礼拝に使われていたこの教会の窓には、20世紀を代表する画家マルク・シャガールとアンリ・マティスのステンドグラスが使われています。外から差し込む柔らかい光に照らされたステンドグラスの繊細な色合いは、写真では伝わらないほどの神々しさです。
マンハッタンから車で約4時間の距離にあるクーパーズタウン。この街に建つのが世界の野球ファンがあこがれる『野球の殿堂(アメリカ野球殿堂博物館)』です。博物館にはホームランボール、バット、帽子、ユニフォーム、スコアカード、野球関連美術品など、貴重な品がたくさん飾られ、大リーグファンにはたまらない大興奮の間違いなしの場所です。松井秀喜選手のホームランバット、野茂英雄選手のノーヒットノーランボールなども展示されています。また、周辺には野球にちなんだショップが多く、さまざまな野球関連グッズを手に入れることができます。
ペンシルバニア州の見どころ
ペンシルヴァニアのアーミッシュ村ランカスター。ここにはいまだに車や電化製品は一切使わず、独自のしきたりを守り続けているアーミッシュの人々が素朴な生活を営んでいます。伝統的な服装を身につけ、馬車で行き来するアーミッシュの人々に遭遇するとまるでタイムスリップした気分です。実際のアーミッシュの家へ訪れることができるアーミッシュ・ファーム&ハウス、芸術の域まで達したキルト、手作りヘルシーフードが並ぶキッチン&ケトル・ビレッジなど見どころも多く、古き良きアメリカの田舎の空気に浸り、エコライフについて考え、食事やショッピングも楽しめる一石三鳥なアーミッシュ村は、週末の小旅行にぴったりの場所です。
アメリカ五大美術館のひとつで、125年以上の歴史を誇る美術館です。展示作品数は225000点以上、古代、中世、近世、ヨーロッパ、東洋、アフリカ・・・あらゆるタイプの世界屈指の芸術作品を所有しています。また外の大階段は映画『ロッキー』で主人公がトレーニングで駆け上がり、ガッツポーズをとったシーンで一躍有名となりました。実際にロッキーの足跡も残されているので探してみてください。
Philadelphia Museum of Art
26th Street and the Benjamin Franklin Parkway, Philadelphia, PA 19130
www.philamuseum.org
1994年に東京の国立西洋美術館でもコレクション展が開催されたバーンズ・コレクション。ニューヨークから2時間足らず、フィラデルフィア郊外の閑静な住宅地にこの美術館はあります。新薬の特許で巨額の富を築き上げたバーンズ博士は当時としては前衛だった印象派の絵を集めだしたところ、当時のフィラデルフィアの絵画界からは散々こきおろされたため「絶対貸し出しも公開もしない!」と宣言し、門外不出となっていたまさに幻のコレクションです。1部屋に何点もの名作が左右対称に展示され、愛好家にはまさに必見の美術館です。
マサチューセッツ州バークシャー地方の見どころ
ニューヨークから車で約3時間、マサチューセッツ州の片田舎にかわいらしい街ストックブリッジはあります。メインストリートにあるレッドライオン・インは18世紀から続く老舗の高級イン(ホテル)があり、上品なレストランでランチやディナーを楽しむことができます(要予約)。郊外にあるタングルウッド・コンサートホールでは毎年ボストン・シンフォニー・オーケストラが野外コンサートを開催することで有名で、夏季はたくさんの観光客でにぎわいます。またアメリカの近代画家ノーマン・ロックウェルの愛した土地として、郊外の森の中にロックウェル美術館とアトリエがあります。
マサチューセッツ州の小さな町ストックブリッジのはずれの森の中にアメリカンの近代画家の巨匠、ノーマン・ロックウェルの美術館が建っています。人々の日常生活の何気ない場面や表情を繊細なタッチで描いた作品群は、時には人種問題や時事問題を含み、くすっと笑えるものから深く考え込んでしまうものまで、ロックウェルファンはもちろん、あまり絵に興味のない方でも、きっと彼の世界に引きこめれることでしょう。美術館とは別に、敷地内に当時のアトリエも公開されています。
Norman Rockwell Museum
9 Route 183 Stockbridge, MA 01262
www.nrm.org